パースの3項論理という幻の壮大なストーリー

2021年02月27日 23:58

  • LINEで送る
パースの3項論理という幻の壮大なストーリー

誰しも自分がアイデアマンだと思っていて、ひらめきで面白いこと思いつくと考えているようです。自己評価というのは客観的に評価できないから自己評価なんであって、そもそも実際にアイデアを行動に移していれば結果が分かるものなのですが、この行動しないことが自己評価を高める結果になるようです。行動力という謎の力は世界に悲劇を生みますね。

そんなアイデアを生み出すプロセスは、あらゆる天才たちが解読をチャレンジしていますが、まぁ誰が正解を知っていて「それ正解」というわけでもないので、微妙に理論に流行があったりなかったりしています。

前に「記号論」でちょっと書いたパースの理論もそのひとつ。

(過去記事)誰と始め、成り立った世界なのか。事実一般化のデザイン

改めて自分の書いた記事を読むと、なんか深夜に眠くて最後に Wikipedia にまる投げしたような書き方ですね。
まぁ今現在もそんな感じで書いてるのですが。

パースの記号の概念では、考える思いつくという現象は semiosis(記号過程)だとしています。
ここでの記号は図や意匠としての記号ではなく、言語的な意味での「記号」です。解釈できる事象ともいうべきものです。
定義は以下。

・representamen(表意体)→ sign(記号)
・object(対象)
・ interpretant(解釈項)

これで3項論理と呼ばれる定義を形成しています。

この中では interpretant、解釈項が特殊です。representamen に関しても曖昧な部分はあるのですが、interpretant=解釈項 については表意体と対象を結びつける関係性をもたらすもので、それがなくして2つを絶対的に結びつけるものではありません。この思考の詳細な部分が発想やひらめきといったものに繋がると考えられます。この解釈を引き出しから出すことが、アイデアというわけです。

パースの3項論理は哲学なので、デザイン理論にはあてはまらず、認知心理学でも学びません。
どちらかというとマーケティング分野で学ばれるもので、大学院や研究員が腰を据えて研究していくレベルの学問じゃないかと思います。

ただ、ここから繋がっていくのはデザイン思考や商品開発の企画マーケティングで、この理論をベースにし応用したあらゆる手法が世の中にはたくさんあります。マーケッターと呼ばれる人たちがやっている手法のほとんどが、この応用手法のはずです。

学問として学んでいなくても、そのプロセスを人は簡単に利用できる。まぁ、そのための学問や研究だったりするのですが。
学問や技術は結晶化され、多くの人達に伝えられていきます。ただ、意外にその源流や先人の偉大さという部分は知らないものです。

   

2018/10/04
誰と始め、成り立った世界なのか。事実一般化のデザイン
姿を持たない終わり無き記号システムの考え方、記号論。カモノハシのようにカテゴリーに属することなく、定義者によって言語学や認知学など様々な形で論じられています。デザイナーにとっての「記号」はもちろん図匠的象徴的なものだと思うのですが、画であろうと人の認識では「言語」であり、国が違えばアウトプ…

2014/09/09
みんなが「デザイン思考」を失敗する理由
数年前から欧米を中心にビジネスシーンで話題になっているキーワード「デザイン思考」。デザイナーの思考方法でビジネスを考える、というものです。やり方はすごく簡単。作っては壊し、作っては壊す。実現したいコンセプトやビジョンを持つ。それについての調査と分析し、仮説を作る。プロトタイプを作…

2014/03/03
デザインは、未来へのリハーサル
WIRED で、シド・ミードのインタビューが掲載されていて、その内容が面白いです。■シド・ミードと巡る、過去と未来をデザインでつなぐクエスト &;laquo; WIRED.jphttp://wired.jp/2014/02/28/syd-mead-interview/その中に、こんな一文がありました。

2013/11/15
じゃんけん勝率100%のロボット、幸運&勝利を支配するテクノロジー
(C) Ishikawa Oku Laboratory運命や幸運、偶発性が機械文明の利器によってコントロールできる。そんな時代に到達したとしたら、どうでしょう?2008年に東京大学の石川奥研究室によって開発された「勝率100%のじゃんけんロボット」が興味深いです。このロボットハンド、人間とジャンケンができるのですが…

2011/01/22
資本主義、君が望むのはそんな世界か
── 哲学者は「世界」を解釈したに過ぎない。  大事なのは、それを変えることだ (by カール・マルクス)──■カール・マルクス - Wikipedia■カール・マルクスとは (カールマルクスとは) - ニコニコ大百科英国ロンドンでは、ホームレスが観光ガイドになって、ホームレスからの視点でロンドンの姿を伝えるという…

2016/01/09
トランプの物語 - 絵柄が意味するデザイン
誰でもトランプ(Playing Cards)で遊んだことがあり、ほとんどの人に周知された歴史あるゲームなのですが。歴史があれば当然そのグラフィックデザインも整理され、過去から引き継がれていくようなデザインルールのようなものができてきます。ルーツに関しては諸説いろいろあるので、近代的なデザインルールともい…

2015/07/03
すご〜く恐い工業デザイナーの話
今年も折り返し。今年の夏も待ち遠しいですね!夏の風物詩といえば「怪談」。怖い話で有名なタレント「稲川淳二」さんの本業がプロの工業デザイナーでもあるということは、あまり知られていないようです。

2015/02/11
こぼれ落ちる空白、プロとしてのデザイン
よく「感覚的」だと言われるデザインの世界にも、他人に説明するための、定量化のための公式というのがあります。とはいっても、美しさを定量化できるわけではなく。デザインの結果としての効果や機能を定量化できるというものです。「ヴェーバー・フェヒナーの法則(Weber–Fechner law)」と呼ばれるものが…

2014/09/25
人間をダメにするデザイン|女性デザイナーの憂鬱
「体にフィットするソファ」。無印良品が販売している微粒子ビーズ(細かい発泡ビーズ)を使った、ソファというよりクッションです。少し前にこの商品がネットで爆発的に広まるという事象が起こりました。ネットを中心にクチコミで座り心地が良さが伝わったこともあるのですが、その「座り心地良さ」を伝える…





同じカテゴリー(デザインの話)の記事
デザイン産業のいま
デザイン産業のいま(2021-01-10 23:47)


このブログの新着情報を配信中!

RSSリーダーに登録することで、新着情報だけを確認することができ便利です。
上のアイコンをクリックしてご登録ください。

見るだけでは飽き足らない、あなた。あなたも小言に参加してみませんか。コメントトラックバック、ご自由にどうぞ。


入力した内容は表示されます
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
過去記事
デザイン特集
グルメ特集
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 32人
QRコード
QRCODE
プロフィール
yasukawa
yasukawa
浜松在住クリエイター&デザイナーが仕事のことについて頑張って書いてみる。
【認知心理学、コミュニケーションデザイン、情報デザイン、UI/UX、インフォメーションアーキテクト、サイネージ(Scala)、3Dモデリング、データベースアプリ構築(FlileMaker)、Flash Script 2.0&3.0、サーバ構築(Linux)、IoTセンサー&電子工作(Arduino)
文部科学省後援情報検定 情報デザイン試験合格
日本商工会議所販売士検定試験2級合格
日本英語検定協会実用英語検定試験3級合格
デザインカレッジ 外部講師(WEBマーケティング)
日本最大級レビューメディア「zigsow」2021年ベストレビュワー