この「ペルソナ」の歴史については、マイクロソフトで Visual BASIC を開発したアラン・クーパー(Alan Cooper)らが開発した方法論とされています。
誰が、いつ、どこで、なんのために、という商品サービスデザインを考える、という方法論。
機能のデザインの落としどころとして、あれもこれもと詰め込むわけでもなく、技術者主体の想いでもなく。
シンプルに、商品ニーズとゴールに合致したソリューションを設計するための支援ツールというのが、ペルソナ概念の背景。
アラン・クーパーは、自身のコンサルティング会社 Cooper で、インタラクションをデザインするための方法論として「ゴールダイレクテッドデザイン」を提案し、その一部としてペルソナ概念を使っています。
また、僕は読んだことないですが 1999年『The Inmates are Running the Asylum』という著書にて、手法が詳しく説明されているそうです。
デザイン視点としては、アラン・クーパーが定義づけた 3 つのゴールというのが注目すべきところ。
「エンドゴール」「エクスペリエンスゴール」「ライフゴール」という3つの分類がそれ。
マーケティングでのペルソナにおける「ゴール」と説明されているのは、おそらく「エンドゴール」になりますね。
エンドゴール
利用者の要求を満たす、というゴール。
認知心理学的には、なんのために利用するのか、何がしたいのか、という行動の認知やモチベーションを分析して、商品サービスの存在意義を問うものになります。最低限これがないと、購買行動はしないというものです。
エクスペリエンスゴール
満足に関わるゴール。利用者個人の心理に深くかかわるもので、使いづらい、遅い、分かりにくい、などのパフォーマンスや楽しさといった人間の本能や感じ方に由来するゴールです。UI/UX の分野でよく使われますし、インタラクションデザインの考え方としても重宝されます。
ライフゴール
内省的な認知に影響を受けるゴールで、機能や使い勝手という狭義なものではなく、最もデザイン指向のものだと思います。利用者がどうなりたいかで、他人から認められたいとか豊かな人生を送りたいとか。「願望」とその「成就」でものさしがないものだと思います。
成功したライフゴールというのは、いわゆる「ブランド商品」で、機能や外観など一切の要件をすっとばした、世間的な評価や個人的なこだわりなどに価値を示すという人間らしいゴールですね。
ペルソナに描かれる人物像というのは、相性だったりネット上から拾った可愛い女子の写真だったりするのですが。
正直なところ、性格や仕事などのプロフィール情報など、現実の人間に近づいた情報は必要なく。
そこに描かれるペルソナには、ゴールに向けての情報が必要です。
例えば新しい OFFICE 製品をデザインするとして、キーボードを打ったことのないペルソナにはキーボードに代わる入力方法が必要で、仕事として使っていくつもりのない腰掛 OL には、反復する時間を短縮する機能よりも、最初の1回だけ分かりやすいサポートをするというデザインになっていきます。
万人が認める美女、誰もがカッコイイと思う100%のデザインは実在しません。
アイドルの AKB 総選挙が成立するように、どんな人にも交わることの無い価値観や嗜好性があり、人それぞれの感じ方があるものです。
しかし、ペルソナの定義は、具体的なデザイン像のイメージを決定づけるのに有益な情報を与えてくれます。
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