「クレーの絵本」を買いました。
これは、クレーの絵に谷川俊太郎が詩をつけた本になります。
パウル・クレーは「忘れっぽい天使」の画が有名ですが、僕もバウハウス展(過去記事:バウハウス・デッサウ展)で見るまではあんまり好きでもなかったんですけど。
なんだか立て続けに観る機会があったことで気になってしまい、購入したという経緯。
■パウル・クレー - Wikipedia
■谷川俊太郎 - Wikipedia
クレーの絵には圧倒的なイマジネーションがあります。
単純でシンプルな形 ── 「形」という言葉も何か違うような気がするけど、とにかくそこにあるイメージは、奥深くていろんな感情が溢れだしてくるかのような奔流があって。
しかもクレーのすごいところは、感覚的なものではなく、美術学校(バウハウス)で教えられるほど理論的なものであったというところ。幼いころから文学や音楽など、芸術面に関してユーティリーティーであり、そんな幼少時代が、あらゆる表現方法を具現化できる才能に至ったのかもしれない。
まず他者ありき、他者と比較してから優位性を得て創り始めるような現代的なデザイン構築手法ではなく、自らの芸術理論を深く掘り下げていくといったストイックな行為もまた、独創的なクリエイティブと理論を両立させた要因なのだとも思う。
「芸術は見えないものを見えるようにする」と主張するクレーの作品は、「奇をてらう」のではなく、イメージを起源から説明できるという点で、彼の抜きんでた才能を顕にしている。
晩年にはクリエイティブの爆発がおこり、数でも圧倒的な作品を残しているので、そういう意味でももっと評価されてもいい人なんじゃないかなぁと改めて思ったり。
そして、谷川俊太郎の詩とクレーの絵はどことなく似ている。
生命の雰囲気、というか。
見えない生や死さえも表現してしまおうとしたクレーに、音楽理論の詩人がつけた詩は、なんだか数学的で、字数さえも計算されているかのような印象を受けた。
なんていうんだろ、字面? あと1行におさまる字の数とか。
うねるようなひらがなの文字が、静寂の中で鼓動を伝えるかのように、どくんどくんと響きます。