「プロフェッショナルサービス」という言葉はマーケティングではコトラーの言葉が一番馴染みがあるのかと思います。まともに読んだことないけど。
明確な定義の無い言葉ですが、コトラーの論議では、弁護士・税理士・社会保険労務士などの日本語で「士」の付くような職業を定義しています。僕たち一般人にとっては「先生」と呼ぶ偉大な職業のお方たちです。
コトラーの論文の面白いところは、そんな先生方がいかに市場でシェアを得て行くかということを追求するもので、一般的な BtoB のような泥臭い戦いでは無いエリートたちの戦いを体系化したもので、価値観など考察するには非常に参考になります。
そもそもこれらの職種は、どの事務所も同じサービスを提供するに決まっているわけだから、その中から自分の1社が選ばれなくてはいけないというのは究極的なマーケティングあるとも言えます。どうやるのか想像するだけでもワクワクして面白い。
依頼する(お金を支払う)顧客側からの視点では、プロフェッショナルとは「依頼した人が結果について云々言えないほどの高度な技術による進行」となるようです。
税理業務や裁判など、代理で自分の知識が足りない業務をやってくれるということですね。
でも料理人や大工だって、依頼人ができないことを代理でやっていると思うのですが。
料理人の場合は、素人でも食べたお客さんが味の良し悪しを判断できるし、大工は下請けとして設計士の言われるがままに作る。でも税理士や弁護士は素人が仕事の良し悪しを判断できない。そういう意味でちょっと違うようです。こういう概念はあんまり考えたことないから、ますます面白い。
僕は下積み時代に「デザインは、お客さんのところに納品して使用したところで完成する」と教わりました。
最後の1ピースをはめるのはクライアント、なのだそうです。
絵描きさんがわかりやすいですが、「絵を描いてくれ」と発注しても、どんな絵が納品されるかは完成して手元に届くまでわかりません。
そんな業務に対して見積し、収入を得るのです(ブラック企業という言葉が流行るけど、そもそも自分たちでそんな曖昧な仕事してるから残業徹夜で死ぬほど働くわけでもありますね)
プロダクトデザインにしても、形あるものを販売するのですが、その後、お客さんがどう製品を使うかは使ってもらうまで分からない。なので結局はどのようなスタイルのデザイナーでも、作っただけではデザインは完成していないということになります。
ただし、デザイナーは過去の視覚的に参考になる実例を提示できるので、広告代理店や下請けといえど、競合他社から選んでもらうための戦略はしやすいといえます。ビジュアルってそういう意味で世の中で一番わかりやすいですね。好きか嫌いかしかないし。
どこまで進めば、どのような評価がもらえ、自分なりにピリオドを置けるのか。
脚の引っ張り合いで、何と戦っているのか、よく分からない人たちに、そんな意味を込めて書いてみる。