さわやかのハンバーグをデザイナー視点で設計思想を分析する

2016年02月03日 14:12

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さわやかのハンバーグをデザイナー視点で設計思想を分析する

浜松を代表するソウルフード「さわやかのハンバーグ」。
みんな美味しい美味しいって言って食べてますよね。

特筆すべきは「オニオンソース」で、ハンバーグというより、ソースの方が主役のような気もするのですが…。
少し前には、ロケットニュースの記者が東京からわざわざ取材に来たのに、デミグラスソースで食べてしまい記事が炎上、フルボッコにされるという大惨事がありました。静岡県民、もう少し大人になれよ…。

そんなさわやかのハンバーグなのですが、他県からの訪問者に薦める際に「どういう風に美味しいの?」と聞かれ、「どうって…とにかく旨いんだよ!」と逆ギレ気味に説明することないでしょうか?

さわやかのハンバーグってそういうところあるよね(結論)。

そんな空気になって困っている静岡県民と他県の人のために、改めてデザイン思想で分析してみたいと思います。
「美味しい」って感想コメント良く見るけど、こういう分析見たことないから、自分自身で書いてて新鮮。

【1】牛肉はオージービーフ


和牛がもてはやされる業界の中で、さわやかが使用しているのはオーストラリア産の牛肉。
そのへんの焼肉店よりも仕入れ価格が安く、コストのかからない輸入肉です。それでも、さわやか は 人気店。

オージービーフは脂が少なくヘルシー。
和牛はサシの入った所謂「霜降り肉」が高級品とされるように、脂の質が重要視され、甘みがあります。

「和牛」「輸入牛」の違いは品種では無く飼育地なので、上級者じゃない限り、基本そんなに違いが分かりません。
でも食材の違いは大きいので、「さわやか」が食通からは評価されずに一般大衆からの熱烈な支持が多いのはそんな理由。

さわやかが格下ともいえるオージービーフを使うのは低価格仕入れというコスト面だと思うのですが。
それを美味しくさせる「設計」があります。


【2】鉄板の上にあるため、冷めにくい


オージービーフは熱いうちは美味しいのですが、冷めると途端に硬くなって味が落ちます。
お皿にのせてテーブルに持ってきて、しばらく話に夢中になってしまって冷めてしまった料理を食べると「?!」ってなりますよね。

ちなみに駅弁なんかは、商品特質上、冷めても美味しいように味を濃くしたりとか工夫がしてあります。

そんなオージービーフの弱点を補うために、アツアツの鉄板の上に乗せて提供するという方法。
これなら冷めにくいので、美味しい状態を保つことができます。料理も温かいし、弱点も補えるし、良いアイデアですね!


【3】ステーキではなくハンバーグにしたことで柔らかい


ハンバーグというのは、ステーキに比べてランクが低いとされています。
その理由は、挽肉に加工されるため、使われている牛肉の質が分からなくなっているためです。
歴史をたどれば、質の悪い肉をどうにかできないかと考案された料理らしいですけど。

ステーキなんかは、肉そのままの形で出されるので誤魔化しようが無いです。
「なんで鉄板で焼くだけの店が高いの」とか聞かれたことあるけど、ただ単純に目の前で焼くだけの鉄板焼きの店が高級店なのは、高級な食材を目の前で料理するため食品偽装のしようもないためですね。

そして「さわやか」のハンバーグですが。
合挽肉で構成されるという構造上、柔らかくて咀嚼の弱い人でも食べられるようになっています。
このため硬くなったとしても、咀嚼に問題なく食べられるようになっています。


【4】レアに焼くことで柔らかい


生の方か、よく焼いた方が好きなのか、好みはいろいろ分かれるところなのですが。
お肉は生が一番柔らかく、焼くと硬くなっていきます。
そのため、レア(赤い生肉が残るような状態)が一番柔らかいです。

さわやかのスタッフはハンバーグを注文する際に「少し赤いのが残る状態が美味しいのでおススメです!」と自信を持ってきっぱりと薦めてくださいます。
オージービーフの特質を考えれば、レアで柔らかくなっている方が美味しく食べやすいですね。


【5】ハンバーグを焼くとき、ナイフで肉をギュって抑えつけられる


さわやかのスタッフはハンバーグを焼くときに、「親の敵!」とばかりにナイフをハンバーグにグッと全身全霊で押し付けてきます。ハンバーグの体力はゼロみたいにぺちゃんこになります。

「お、俺のハンバーグに何をするんだ!」と誰もが最初はびっくりすると思います。
あれ、お客目線だとすごい印象悪いですね。

とはいっても、あれも計算。
あれは中の空気を抜いてるそうです。
押し付けて密着することで形が崩れず肉汁がこぼれなくなり、ジューシーなハンバーグになるそうです。
とりあえず落ち着きましょう。自分のハンバーグに恨みがあるわけではないようです。


以上。
こんな感じに、うまい具合にいろんな要素が絡みあって、低コストで美味しい料理を実現しているみたい。
弱点をうまいこと様々なシンプルなプランを組み合わせることで長所に昇華させていくという、デザインの基本みたいな設計手法。考えていくといろいろ面白いです。
短所を長所にできるって、すごいことですよね。

品質を維持するため、静岡県内にしかチェーン展開しないなど、企業としてもポリシーがあり好感もあります。
あと広告・販促関係とかにも厳しい企業ですね。どこともコラボとかもしないみたいだし。
ハンバーグみたいにもう少し柔らかくなると嬉しいですね。
あとなんでか知らんけど毎シーズンやってた創業価格フェア、復活するといいな。



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yasukawa
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浜松在住クリエイター&デザイナーが仕事のことについて頑張って書いてみる。
【認知心理学、コミュニケーションデザイン、情報デザイン、UI/UX、インフォメーションアーキテクト、サイネージ(Scala)、3Dモデリング、データベースアプリ構築(FlileMaker)、Flash Script 2.0&3.0、サーバ構築(Linux)、IoTセンサー&電子工作(Arduino)
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