公式発表によれば、ロゴをデザインしたのは、当時東京芸術大学の学生であった島峰藍さん(現在、院生)。
プロや美大生から公募された38のデザインコンペから選ばれたものだそうです。
公式発表や報道によると、散りばめられた桜の花は、日本を代表する国花。
そして友好や平和の証として、世界各地の都市に贈呈されてきた樹木でもあります。世界が集まるイベントとしてはすごくメッセージ性があります。
そして、花が模るリースの形。
これはデザインをした島峰さんが、制作当時にブームを巻き起こしていた映画「ハリーポッター」で、花環をお墓に手向けるシーンからインスピレーションを得ているようです。
インスピレーションを受けるところは誰にでもできるところなのですが、ここからがクリエイターとしての領域。
作る意味と、理由となるメッセージ。
普通の人が流してしまう映画の中の1シーン。
しかし「
なぜ花のリースを手向けたのか」という行動の意味に注目。
調べた結果、リースには「再び戻ってくる」という意味が分かったそうです。
そこからイメージを昇華させ「今、元気の無い日本に元気が戻ってきてほしい」という強いメッセージが込められることになったということです。
色んな問題を抱えて頑張っている日本に、復興の祈りも込められたデザインとなっているということですね。
島峰さんのインタビューを見ると、いろんなところで恩師に教わったという言葉が出てきます。
「
デザインとは応えるもの、アートは問うもの」。
社会に求められるものがデザインで、社会に問題提起していくものがアート。
そんな解釈で、テーマを持って制作しているそうです。
自分自身の好きなものだけを作っていくのは、すごく簡単。
自分の好みを反映させただけのデザインは簡単。
ただ、人から求められるものを具現させるのは難しい。
デザインとしての仕事の意味を思い出せてくれるような言葉です。
── 机上で、PCの前で綺麗なものができた。
でもそれは、相手と話しをしてできたものでしょうか? ──
クライアントからお金を貰うという意味は。
お金をもらう相手は誰。
黙ってても何もしなくても会社から給料がでる。だからクライアントと話しをしなくてもいい。
見積書や請求書を出す作業が面倒。「忙しいから」。
自分は、良い仕事ができる。だけど好きなものだけ作ってきた経験で自分評価。
自分は、長く仕事をしてきた。なるべくサボってきたけど。
そんな風に捻じ曲がろうとすれば、人間はいくらでも捻じ曲がる。
ちゃんと自分自身で気づいて、相手をよく見て、相手の伝えたいことを具現化させるような仕事が本来のデザインだといえますね。
この五輪招致ロゴは、様々なシンボルとして使われてきましたが、2020年東京オリンピックには違うロゴマークが新しく設定されるそうです。
このまま、このロゴマークで良いのになぁとちょっぴり残念に思うこの頃。
このシンボルには、リスペクトされるべきデザイン性と一緒に、自分自身に花を手向けるかのような、そんな精神性を感じるのです。
(参考)
■招致ロゴデザインの女子大生を胴上げ | 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/181597/
■東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会招致ロゴを発表!! >>TOKYO 2020 CANDIDATE CITY|2020年、オリンピック・パラリンピックを日本で!
http://tokyo2020.jp/jp/news/index.php?mode=page&id=4
■お知らせ詳細 | 女子美術大学
http://www4.joshibi.ac.jp/tagblocks/seminar/news/activitylist/0000002905.html
■シリーズ銀座×人 VOL.7 東京芸術大学 大学院生 島峰 藍 | Ginza Official – 銀座公式ウェブサイト
http://www.ginza.jp/archives/8061
■[フェイス21世紀] : 島峰 藍さん | Art Annual online
http://www.art-annual.jp/column-essay/column/23179/