東京オリンピックで、街から「?」のサイン看板が消える理由

yasukawa

2016年07月20日 22:20



東京オリンピックが近づき、盛り上がるデザイン分野といえば・・・。
大規模な都市計画も然りですが、身近なところではサイン関係。特にピクトグラムが熱いと想像できます。
ピクトグラム(pictogram)あるいはピクトグラフ(pictograph)とは、一般に「絵文字」「絵単語」などと呼ばれ、何らかの情報や注意を示すために表示される視覚記号(サイン)の一つである。地と図に明度差のある2色を用いて、表したい概念を単純な図として表現する技法が用いられる。
- Wikipwdia より -

図を用いて、感覚的・視覚的に情報を伝えることができるため、現地語の分からない外国人には優しいです。
外国から観光客がおしよせてくるオリンピックイヤーには、言葉の壁をこえて情報伝達ができるピクトグラムを用いて、情報が理解できるようにしたいところですね。

これからのデザイナーのお仕事としては、まだピクトグラムとして整備されていない情報を見つけ、分かりやすい絵図を検討することだともいえます。

ピクトグラムは ISO(国際規格)によって定義されており、世界各国で同じフォーマットの絵図が確認できます。
言葉が分からない文字が読めない外国に行っても、これなら安心ですね。
とくにトイレのピクトグラムなんかは広く使用されているので、外国でも困ることないですね。

しかし、1つ問題があって、日本には独自の JIS という国内規格があり、それで標準化され既に広まっていることです。
似た絵図のものも多いので理解できるのですが、下手すると日本なのに日本人がピクトグラムを理解できないという不思議な空間になってしまいます。

特に JIS 規格の押しつけがましい優しさときたら世界のトップクラスで、ISO を上回るボリュームのピクトグラムが定義され普及されていたりします。お・も・て・な・し、の精神さすがですね。

また、JIS と ISO 、国内規格が国際規格と合わない問題もあります。



デザイナーあるあるな問題なのですが、この2つのマークは、いずれも「案内所」を表すピクトグラムです。
あまり意識せずに使用されてしまうことも多いようですが、規格でしっかり定められています。

ちなみに、左の「?」が有人案内所、右の「i」が無人案内所を表しています。
知っていましたか?

つまり、デパートなどで案内嬢のいるインフォメーションカウンターなどは「?」マーク。無人のサイネージなどは「i」マークです。ただしあんまり使い分けされていないところも多いです。
デパートや観光地などでも間違った使い方をチラホラ見かける、よくあるデザインミスですね。

国土地理院が実施したアンケートでは、
?マークの理解できた外国人は 21%。
i マークを理解できた外国人は 49%。

ただし、この2つのマークの使い分けは、JIS の国内規格の話。
ISO では、案内所は無人友人を問わず、右の「i」マークに統一されています。
そういう意味では、さすが日本クオリティ、JIS の方が細分化されているわけですが。

でも、今後の国際化に合わせるためには ? マークを i マークにしなくてはいけないという問題が発生してしまいます。
せっかく分類してるのに、若干のクオリティダウンを感じますね。

■外国人にわかりやすい地図表現検討会|国土地理院
http://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa41015.html


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