この設計手法はジェネレーティブ・デザインと言われ、その名の通り「生成される設計」。
条件や仕様などを人間が入力し、その要件定義に応える形でコンピューターが形を提示する、というもの。
古くには、コンピューターのアルゴリズムを使ったアートである「ジェネレーティブアート」という分野もありましたが、それがアートでは無く工業系デザインに移行したものではあるのですが。でも思想や概念は別物であるので、言葉というのは面白いですね。
演算処理による設計なので、メリットは何十年・何百人という人間の経験の積み重ねと思考を上回る結果というところでしょうか。
通常のデザイナーが経験する「成功」と「失敗」をあっという間にシミュレートして演算していくゴールへの道筋は、効率的&的確でここに勝るメリットはないように思います。
哲学的には「人間は生物をデザインできない」というルールがあって。
これは生命という概念を考えた時にブレーキ的な役割をもった思想であるかもですが。
有機的なデザインというのは、本来誰もが苦手なはずなのです。
細胞とか人体の仕組みとか学術的にも解明されていない(手を付けることが憚られる)分野が多いため、デザインに反映されるための学問が遅れていることもあります。
芸術面であるアートには、アールデコといった自然界の摂理統計・美しさを模倣するものはあるのですが、もっとシステマチックに構造強度や生産性などのメリットを内包した設計思想というのは、智慧の遅れている部分だと思います。
建築業界では、今後の建築物は、より人間的に・有機的なデザインに近づいていくという予想があるみたいです。
これは、3Dプリンターの普及による設計に自由化が進むことにも関係しているのですが、過去より進化をとげていくものは生命をもった生物だけなので、その結果有機的なものに近づく未来があるということみたい。
モノの形をコンピューターが決める、という未来には期待と反骨精神の相反する感情を持ってしまいますが。
人間の役割は、コンピューターともコミュニケーションをとって、的確に要件定義を伝えるという、そんな時代になりそうです。
現代のコミュニケーション手段から考えると、コンピューターが今の状況を SNS で呟いたり、コメントしあったり、既読スルーしたり。きっとそういう時代のになるんでしょうね。