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日曜日に、映画「TIME/タイム」を観てきました。
この映画は「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」を観に行った時に予告編で知って、それで必ず観ようと心に決めていた映画です。なにより設定が新しく、メッセージも意味深で面白そう。
あらすじ:科学技術が進歩したことにより老化現象を解決した近未来、25歳で生体の成長が止まると余命はあと1年という社会が構築されていた。富裕層は寿命を気にしなくていい一方、貧しい人々は寿命を延ばすためにあくせく働き続けなければならなかった。貧しい青年のウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)は、時間と引き換えに裕福な男性を殺した容疑を掛けられ、追われる身となってしまい……。
■映画 TIME/タイム (公式)
http://www.foxmovies.jp/time/
映画の世界の通貨は「お金」ではなく「時間」。
人々の腕にはカウントダウンを続ける時計が浮かびあがっていて、働いた分だけ「時間」をもらうことができる生活。このカウントダウンが終わってゼロになると、突然死。
人々は寿命を手に入れるために働き、そして食べ物や家賃を払うために通貨である時間を手にいれなければならない。
主人公も工場で1日分の「時間」を手に入れるために毎日必死に働き、朝になると24時間をきったタイマーをながめ、そして生きるために工場に向かう。
タイムアウトは、死。
貧しい者は早死にする、それがこの世界のルール。
(以下、特にネタばれ話はありません)
資本主義ということになると思うのですが、とにかく「時間」を持つことが自分の寿命を延ばすことなので、みんな生きることに必死。
逆に富裕層は、時間をもてあまし、若く美しい姿のまま100年以上をだらだらと過ごす。
主人公が貧困層の出身と見破られるのも『走っていたから』。富裕層には時間がたっぷりあるので、走る必要も急ぐ必要もないとのことです。
たまたま今日の全体会議でも出た時間の使い道の話とも重なったこともあるけど。
映画を観ていて、いろんな感情が生まれた。
まずは、ぼーっとして暇つぶしをしている人・無駄なネットサーフィンで時間を潰している人は、無駄な時間を過ごしているということ。
無駄遣いをしていたらこの世界では、即、死んでしまう。怠け者はいない。
そしてもうひとつは、「生きる」という意味。
本当に富裕層のような生き方が、人生の完成形なのかな、という疑問。
映画の登場人物の中には心優しい人たちもいて、自分の時間を分け与えて他人を活かそうとする。貸し借りもする。そしてギャングのように理不尽な奪い方をする者もいる。
時間は命のやりとりで、コミュニケーションは刹那的な悲壮感も伴い、そして慈愛に満ちている。
映画としては非常に「まさに洋画!」という感じでカーチェイスや人ごみの中を走るアクション、そして銃撃というパターンで結構もういらない感はあったのですが、設定が面白かったこともあって久しぶりに面白いと思いました。
でも予告編で言われていた「世界の謎を解き明かす」は微塵もなかった。
もうちょっと奥行きのある話だと思ったんだけど。題材がいいから、僕でももうちょっと設定を活かしたストーリーが書けそうなくらい。
いろいろ伏線もあったけど、まったくの未回収だったし。しかし一番最初に小さな女の子が時間をせびりにきて、なんて卑しい娘なんだと思っていたら途中で何気に何に時間を費やしていたか理由がわかるシーンがあって、そっちの隠れた伏線にビックリしたけど。
あと、ヒロインのアマンダ・セイフライドという女優さんが、大きな瞳に脚線美というルックスでファンになってしまった。可愛くてセクシーだった。
冒頭のシーンを見ていて思いだしたのは、経営学の本(?)で読んだ南米の工場の再生方法。
ここは経営を立て直すために給料の月払いをやめて、日払いにしたという話。
こうすることで働く人たちがサボらなくなり、1日の食費を稼ぐためにサボらずに必死に働くようになったために作業効率がはねあがり、経営が良くなったということ。
僕は、現代日本・資本主義の中でこの話が非常に教科書的で、凄腕でキレ者のオピニオンリーダーの才能による、美しい話だと考えていた。
でも今は、そうは思えない。
時間は支配するものではない。解決策はまるでデタラメで、そして悲しい。
僕たちは別々の時間にいるのではなく、同じ時間を共有していて、そして同じ夢を見られる。
いろいろ考えれば、この工場は夢を、時間を、共有できていなかったのだと思う。
流れた時間は非常にゆっくりすぎて、そして身の丈にあっていなかった。
改革ではなく、閉鎖するのか、人を入れ替えるのかが必要だったのかな。
いろいろ考えることはできるけど、結局はサボった人の自分自身の責任の結果なんだとも思う。
時は金なり。
時間は金では買えない。
時間を謳う言葉はたくさんあるけど、自分自身が求める時間とその価値についていろいろ考える良い機会になった。
自分が飛び込んでいる時間に意味をもたらし、飛び込んだ他人の時間に意味をもたらすっていうことは、すごくエキサイティングで、義務はなく自由で責任があり、そして全部自分自身のせい。
僕の時間は僕自身の決めたもので、他人の時間でもある。
あと予告編で、来月公開で観たい映画がまたあった。
■Black & White / ブラック & ホワイト
http://www.foxmovies.jp/blackwhite/
これすごく面白そう。4/20公開みたい。
とくに奥深いメッセージもなく、笑ってみられる娯楽映画っぽいですね。楽しみ。